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乳児湿疹、アトピー性皮膚炎の治療

小児科・アレルギー科

乳児湿疹・アトピー性皮膚炎

今のかゆみを抑え、その先の成長とアレルギーも見据えて

赤ちゃんの頬の赤み、繰り返す湿疹、眠れないほどのかゆみ。お子さんの皮膚の症状には、年齢や体質に応じた診断と治療が大切です。

当院では、湿疹の治療とともに、離乳食の進め方や食物アレルギー、成長に伴って現れる気管支喘息・アレルギー性鼻炎などにも目を向けています。小児科・アレルギー科として、お子さんの成長を通して継続的に診療することを大切にしています。

1 乳児湿疹とアトピー性皮膚炎

「乳児湿疹」は、赤ちゃんの時期にみられる湿疹を広く指して使われる言葉です。脂漏性皮膚炎、乾燥やよだれなどの刺激による皮膚炎、アトピー性皮膚炎などがあり、見た目だけでは区別が難しいこともあります。

アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。湿疹の性状、できる場所、経過などを合わせて診断します。乳児では顔や頭に始まることが多く、幼児・学童では首や肘・膝の内側などが目立つようになります。

診断がまだはっきりしない時期でも、赤みやかゆみが続く場合には、その症状に合わせた治療が必要です。「赤ちゃんの湿疹だから」と長く様子をみる必要はありません。

2 乳児期の湿疹を大切に考える理由

皮膚には、水分を保ち、外からの刺激や異物から体を守る「バリア機能」があります。湿疹によってこの働きが低下すると、食物などに含まれるアレルゲンが皮膚から入り、免疫がその物質に反応するようになることがあります。これを「経皮感作」といいます。

バリア機能が保たれた皮膚と、湿疹によってバリア機能が低下しアレルゲンが入りやすくなった皮膚の比較図。
皮膚のバリアと経皮感作経皮感作の仕組みを示す模式図です。感作があっても、必ず食物アレルギーの症状が出るとは限りません。

乳児期のアトピー性皮膚炎に続いて、食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎などが現れる経過を「アレルギーマーチ」と呼びます。ただし、すべてのお子さんが同じ順番で発症するわけではありません。

乳児期の湿疹や食物アレルギー、成長に伴う喘息・アレルギー性鼻炎の関連を示す概念図。全員が同じ順番で発症するわけではありません。
アレルギーマーチ成長に伴うアレルギーの現れ方には個人差があり、必ずこの順番で発症するわけではありません。

乳児期から湿疹の炎症を十分に抑えることが、食物アレルギーのリスクを減らす可能性を示す研究もあります。将来のすべてのアレルギーを防げるとまではいえませんが、皮膚を良い状態に保つことは、今のつらさを減らし、その後のアレルギーを考えるうえでも大切です。

3 皮膚と日常生活の両方をみながら診療します

診察では、湿疹の強さや広がりに加え、夜眠れているか、掻き壊しがあるか、園や学校で困っていないかを確認します。使っている薬の種類・量・塗り方や、ご家庭で続けるうえでの負担も大切な情報です。

血液検査は、必要に応じて炎症の状態やアレルギーとの関わりを調べる補助として行います。採血だけでアトピー性皮膚炎を診断したり、湿疹の原因をすべて特定したりすることはできません。アレルギー検査が陽性でも、その物質が実際に症状を起こしているとは限らず、症状や経過と合わせて判断します。

4 治療の目標と3つの基本

目標は、かゆみや湿疹に日常生活を妨げられず、良い皮膚の状態を保てるようになることです。症状が落ち着いた後は、必要な治療を調整しながら再発を防ぎます。

治療は、次の3つを組み合わせます。

・皮膚の炎症を抑える薬物療法

・清潔と保湿を基本にしたスキンケア

・それぞれのお子さんに関係する悪化因子への対策

保湿剤と抗炎症薬は役割が異なります。赤みやかゆみのある湿疹では、保湿に加えて炎症を抑える治療が必要です。

5 塗り薬で炎症をしっかり抑える

ステロイド外用薬

湿疹の炎症を抑える基本的な薬です。薬の強さは5段階に分かれ、湿疹の程度、塗る場所、年齢などに合わせて選びます。

適切に使うことで高い治療効果が期待できますが、必要以上に強い薬を長く使うと、皮膚が薄くなるなどの副作用が生じることがあります。効果と皮膚の状態を診察で確認し、種類や回数を調整します。薬への不安がある場合も、遠慮なくお話しください。

ステロイド以外の抗炎症外用薬

プロトピック、コレクチム、モイゼルトなど、異なる仕組みで炎症を抑える薬があります。使える年齢や濃度、塗布量、使用できる部位、注意する副作用は薬ごとに異なります。

皮膚の状態や治療の段階に合わせて、ステロイド外用薬と使い分けます。「ステロイド以外ならどの年齢でも使える」「長く使っても注意がいらない」というものではありません。

6 塗る量と良くなった後の治療

塗り薬は、量が少なすぎると十分に効かないことがあります。量の目安に「FTU(フィンガーチップユニット)」があります。口径約5mmのチューブから大人の人差し指の先端から第1関節まで出した量が約0.5gで、大人の手2枚分ほどの面積に塗る目安です。容器や薬によって条件が異なるため、実際の量・部位・回数は処方時の指示に従ってください。

口径約5 mmのチューブから大人の人差し指の先端から第1関節まで出した1 FTUが約0.5 g、大人の手2枚分ほどの面積が目安で、その量を隆起した患部も含めてむらなく塗る3段階の図。
塗る量の目安 FTU口径約5mmのチューブを使う場合の目安です。1 FTUは約0.5gで、大人の手2枚分ほどの面積に相当します。実際の量・部位・回数は処方時の指示に従ってください。
炎症で盛り上がった皮膚の断面を比較した模式図。左の×は軟膏が谷の部分に少量残り、盛り上がった患部が露出した状態。右の○は処方された十分な量で、患部の隆起も含めて連続して覆った状態。
炎症のある皮膚をむらなく覆う軟膏の分布を示す模式図で、皮膚や薬の厚みは実際の縮尺ではありません。厚塗りを勧める図ではなく、FTUなどの目安と処方時の指示に沿って、必要な量をむらなく塗ります。

繰り返し湿疹が出る場所では、十分に炎症が治まった後も、保湿を続けながら抗炎症薬を週2回程度など間隔をあけて塗ることがあります。これが「プロアクティブ療法」です。

使う薬、塗る範囲、回数や終了時期は個別に決めます。赤みが少し引いた段階で自己判断で減らすのではなく、診察で皮膚が十分に良くなったことを確認して進めます。

炎症を十分に抑えた後も保湿を続け、医師の指示で抗炎症薬を間欠的に使うプロアクティブ療法の流れ。
プロアクティブ療法炎症が十分に治まったことを診察で確認してから進めます。使用する薬・範囲・回数・終了時期は個別に決めます。

7 毎日のスキンケアと悪化因子への対策

・入浴やシャワーで汗や汚れを落とし、洗浄剤はよく泡立てて手でやさしく洗い、十分にすすぎます。

・熱いお湯や長湯、強くこする洗い方は避けましょう。

・入浴後はやさしく水分を拭き取り、保湿剤を塗ります。季節を問わず、乾燥する部分の保湿を続けます。

・汗をかいたら、洗い流す、濡らした柔らかい布で押さえる、着替えるなど、できる方法で対処します。

・爪を短く整え、肌に触れる衣類の刺激にも気を配ります。

乾燥、汗、摩擦、花粉やダニなど、悪化に関係するものはお子さんによって違います。生活の中での変化を参考に、必要な対策を考えます。

8 食物アレルギーと離乳食

アトピー性皮膚炎があっても、すべてのお子さんに食物除去が必要なわけではありません。血液検査の結果だけで卵や牛乳などを除去すると、食べられる食品が必要以上に減り、栄養や成長に影響するおそれがあります。

食べた後の症状や検査結果などから、食物アレルギーがあるか、どの程度の制限が必要かを判断します。湿疹を治療しながら、月齢や発達に応じた離乳食の進め方を考えることが大切です。

離乳食は適切な時期に適切な食事を食べさせることが大切です。予防のために離乳食を一律に遅らせたり、ご家庭だけの判断で除去・再摂取を行ったりしないようにしましょう。

離乳食を食べている赤ちゃんと、そばで見守る保護者のイラスト。

9 塗り薬だけでは十分に良くならない場合

十分に治療しても湿疹が続く、かゆみで眠れない、学校生活に支障がある場合には、治療を見直します。まず診断、薬の選び方や使用量、塗り方、続けにくい理由、感染やかぶれの合併などを確認します。そのうえで、重症度や年齢に応じて、注射薬や内服薬などを組み合わせた治療を検討します。

かゆみに対して使う抗ヒスタミン薬は補助的な治療です。皮膚の炎症を抑える外用治療も引き続き重要になります。

10 注射治療という選択肢

従来の治療で十分な効果が得られないアトピー性皮膚炎や、それに伴う強いかゆみに対して、「生物学的製剤」と呼ばれる注射薬を使用できる場合があります。炎症やかゆみに関わる特定の物質の働きを抑える治療です。

ぽっけキッズクリニックでは、デュピクセントによる注射治療を行っています。デュピクセントは、炎症に関わるIL-4・IL-13の働きを抑える薬です。使用にあたっては、年齢・体重や重症度などの条件を確認します。

開始前には、これまでの治療、皮膚の状態、生活への影響などから適応を判断します。期待できる効果、副作用、通院や注射の負担、費用を確認して治療を選びます。治療中も皮膚の状態に合わせた外用薬や保湿を続け、効果と安全性を定期的に確認します。

注射薬のほかに、経口JAK阻害薬などが選択肢となる場合もあります。治療ごとに必要な検査や注意点が異なるため、専門的な評価のもとで検討します。

アトピー性皮膚炎の診療は、ぽっけキッズクリニック・あっぷりけキッズクリニックの両院で行っています。生物学的製剤による注射治療は、ぽっけキッズクリニックで行っています。

11 早めに相談してほしい症状

・湿疹が繰り返す、治療を続けても改善しない

・かゆみで眠れない、掻き壊して出血する

・食事や体重の増え方が心配

・黄色いかさぶた、膿、痛みが増えている

発熱とともに水ぶくれやただれが急に広がる、ぐったりしている、目の周囲に強い症状がある場合は、感染症などの可能性もあるため、当日中に医療機関へ相談してください。

12 皮膚の相談から成長に合わせたアレルギー診療へ

乳児期の湿疹の治療は、お子さんのアレルギーを考える大切な機会です。当院では、皮膚の状態とともに、食事、睡眠、成長、咳や鼻の症状にも目を向けながら診療します。

「この湿疹は相談してよいのかな」「薬の使い方が合っているか心配」という段階でも、ご相談ください。

当院のアトピー性皮膚炎の診療の特徴

小児のアトピー性皮膚炎では、気管支喘息、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎といった、アレルギー疾患を複数合併していることが少なくありません。また、年齢を経るうちに、徐々に発症する場合もありますから(アレルギーマーチ)、これらのアレルギー疾患を総合的に診療します。

アトピー性皮膚炎

院内感染が心配な乳児は、一般診療とは時間を分けて診察をしています。

 

当院ではスギ花粉症およびダニアレルギーに伴う通年生アレルギー性鼻炎のアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)を行なっています。アレルゲン免疫療法とは、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、根本的な体質改善が期待できる治療法です。現在はスギ花粉症と、ダニアレルゲンによる通年生アレルギー性鼻炎の治療が可能です。このページでは、主にスギ花粉症を例に解説しますが、治療法などはダニアレルギーの場合もほとんど同じです。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、皮膚に紅斑(赤み)、丘疹(ブツブツ)、落せつ(皮膚がカサカサしてむける)などの痒みのある湿疹が混在して良くなったり悪くな ったり、慢性的にくりかえす状態です。
アトピー性皮膚炎は、多くは乳幼児期に発症して、小児の有病率はだいたい10%程度と考えられます。年齢とともに徐々に改善することが多いのですが、一部が成人のアトピー性皮膚炎に移行します。乳児湿疹は、赤ちゃんの一過性の皮膚炎ですが、適切に治療をしないと遷延してしまい、掻破してしまうために、徐々に増悪します。乳児期のアトピー性皮膚炎との鑑別は難しく、治療で湿疹が一時的に改善しても、繰り返してしまう場合はアトピー性皮膚炎の可能性があります。
乳児湿疹もアトピー性皮膚炎も適切に治療を行えば、痒みのコントロールは可能で、良い状態の皮膚を維持することができます。

アトピー性皮膚炎の病態

正常な皮膚では、角層という皮膚の最も外側の組織が、環境中のさまざまな刺激から体を保護し、体内の水分の蒸散を防いでいます。しかし、アトピー性皮膚炎の皮膚では、一見正常でもこの皮膚のバリア機能が低下しています。近年、アトピー性皮膚炎の患者さんには、バリア機能と関わりの深い角層の蛋白質の遺伝子に異常を持つ人がいることが明らかになってきました。アトピー性皮膚炎の患者さんは、生まれつき皮膚のバリア機能が脆弱で、さまざまな刺激で痒みが生じやすく、さらに掻き壊しによって悪化するという「悪循環」を繰り返していると考えられます。

小児のアトピー性皮膚炎の特徴

アトピー性皮膚炎が乳幼児に多いのは、皮膚の機能が十分に発達していないため、 成人と比べてバリア機能に異常が起こりやすいからと考えられます。
乳児期には頬、耳周囲、口周りや顎など顔の露出部に湿疹が生じやすく、次第に痒みが増して掻くために、首や脇、腕や脚の擦れる箇所や 関節部に広がって行きます。皮疹は身体のどの部分にも広がる可能性がありますが、特に刺激を受けやすく掻きやすいところに多く現れますから、日頃のスキンケアが大切です。

小児アトピー性皮膚炎の治療の重要性

アレルギー疾患が、次から次へと発症する様子を行進に例えて「アレルギーマーチ」と言います。アトピー性皮膚炎の乳幼児は、その後の食物アレルギーや気管支喘息、アレルギー性鼻炎など、他のアレルギー疾患を発症しやすいことが知られています。
アトピー性皮膚炎で皮膚のバリアが破壊されていると、環境中の様々なアレルギー物質(アレルゲン)が皮膚から体内に入ってきます。体内でアレルギー反応が惹起されて、他のアレルギー疾患の原因になってしまうのです(これを「経皮感作」と言います)。経皮感作を防ぎ、後の様々なアレルギー疾患を予防するためにも、早期からの湿疹や、アトピー性皮膚炎の治療が大切となるのです。

当院ではぜん息の診断と治療に呼気NO測定を用いています。ぜん息の患者では呼気ガス中のNOが健常者に比べて高いことが知られています。気道の炎症が強いと呼気NOは上昇し、吸入ステロイドなどを用いた適切な治療を行うことで低下します。呼気NOを測定することで気道の炎症レベルを客観的に評価して、治療に役立てることができる可能性があります。

診断
  • レントゲン検査
  • 血液アレルギー検査
気道炎症の評価
  • 呼気NO測定
気道の狭窄
  • フローボリューム曲線
  • ピークフロー
  • 血液酸素飽和度

食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の関係

アトピー性皮膚炎の治療の3本柱は①スキンケア(皮膚の清潔と保湿)、②薬物療法(外用剤の塗布、痒みに対する内服薬など)、③環境整備(室内のアレルゲン対策など)です。

アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは深く関係していて、アトピー性皮膚炎の重症度と食物アレルギーの発症率は相関する、というデータがあります。
アトピー性皮膚炎の場合、皮膚のバリア機能が低下しているため、チリやホコリとなった食物が、皮膚から体内に侵入しやすくなっています。また、皮膚に炎症があるために食物アレルギーの発症に関係する、IgE抗体が産生されやすいという特徴があります。「乳児期のアトピー性皮膚炎の診断や治療が遅れると食物アレルギーになりやすい」と言えます。アトピー性皮膚炎の治療をきちんと行い、皮膚のバリア機能を高めて炎症をコントロールすることが、食物アレルギーを予防することにつながる可能性があると考えられています。

アトピー性皮膚炎の治療の3本柱

1)日常生活で注意すべき点

入浴のこと
  • 毎日しっかりお風呂に入りましょう。石鹸やボディーソープなど、あらかじめしっかり泡だててから使用するようにしてください。汚れは擦り落とすものではなく、泡と馴染ませて洗い流すイメージです。
    お風呂で体を洗うタオルの素材も大切です。ナイロン製のものは刺激が強く、皮脂を落としすぎてしまいます。小さなお子さんならお母さんの手が一番。タオルを使用する場合も、ガーゼなど肌触りの良い木綿素材のものを選びます。石鹸やボディーソープなど、しっかり泡だててから使用するようにしてください。汚れは擦り落とすものではなく、泡と馴染ませて洗い流すイメージです。
    体を洗ったら、軽く湯船に浸かって、流し落としきれていない泡などがないか確認します。湯船で温まりすぎると入浴後の痒みが強くなります。入浴後に汗をかいたり、頬や手足が赤くなったりするような長湯はさけます。入浴剤も身体が温まりすぎるため、あまりお勧めしません。
汗とかゆみ対策
  • 外遊びが多い子どもは、皮膚が汗やホコリで汚れ、このような皮膚は痒みや、膿痂疹(とびひ)など皮膚感染症の原因になります。たくさん汗をかいた後はシャワー浴で汗を流します。その際に、下着は新しいものに取り替えてください。
    子どもが訴える痒みに対していは、ステロイド軟膏などによる皮膚炎の鎮静化が根本的な解決策ですが、急な痒みの訴えには、シャワー浴をしたり、痒みを生じている部分に冷たいタオルや保冷剤をあててあげることも有用です。また、あらかじめ保湿剤を冷蔵庫で冷やしておいて、幹部に塗布してあげるのも気持ちいいでしょう。
プールや海水浴
  • プールの消毒に用いる塩素、海水は、放置すると皮膚を刺激して強い痒みを誘発します。このような遊びの後は必ずシャワー浴(可能であれば石鹸を用いて洗浄)を行なってください。清潔にした後に、保湿剤やステロイド外用薬の再塗布が必要な場合があります。 

2)保湿剤によるスキンケア

アトピー性皮膚炎では、皮膚が乾燥して、バリア機能が弱く、外部からの刺激を受けやすい状態です。そのため、ステロイド外用薬や、非ステロイド抗炎症外用剤(モイゼルト、コレクチム、プロトピック)に加えて、保湿剤を併用する必要があります。

石鹸で皮膚を清潔に洗った後は、落とされた皮脂を補い乾燥を防技ます。入浴後はできるだけ速やかに(入浴後5分以内が目標)、まだ肌がしっとりしている間に保湿剤を塗布することが大切です。夏季はプールや、シャワー浴の後、冬季は空気が乾燥するため適宜、保湿剤を使用して乾燥を防いでください。

アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえる可能性のある治療です。完全に症状がおさえられない場合でも、症状を和らげてアレルギー治療薬の使用量を減らすことが期待できます。
治療は長期間(3~5 年)かかります。継続することで根本的な体質改善ができます。正しく治療が行われていれば初めてのスギ花粉飛散シーズンから症状を和らげることが期待できます。治療終了後も効果が持続し続けます。

3)薬物療法

外用療法
  • アトピー性皮膚炎の薬物療法は、外用薬の使用が中心です。外用薬としては、皮膚の炎症を抑えて痒みを軽減させるステロイド外用薬と非ステロイド抗炎症外用薬(モイゼルト、コレクチム、プロトピック)が用いられます。
  • ステロイドとは、副腎皮質という臓器で作られるホルモンの一つです。皮膚の炎症を抑えて、湿疹や皮膚の痒みを改善することができ、アトピー性皮膚炎の最も標準的な治療です。誤った知識や情報によって、ステロイド外用剤の使用にご不安を持つ方もいらっしゃいますが、適切にステロイド外用薬を使用すれば、重篤な副作用はほとんどありません。
  • 非ステロイド抗炎症外用薬は、ステロイド外用薬と同様に、皮膚の炎症を抑える働きがあります。薬剤によって使える年齢が異なりますが、生後3か月から使用が可能です。ステロイド外用薬と異なり、長期間使用しても皮膚の菲薄化が生じないなど、優れた性質があります。ただし皮膚の炎症を抑える効果はステロイド外用薬の方が優りますから、急性期(皮膚が赤く痒みが強い時)はステロイド外用薬を使用し、症状が改善したら非ステロイド抗炎症外用薬を継続するなど、適宜使い分けることが大切です(外用薬の使い分けの方法は医師と相談してください)。
  • 外用薬は、医師の指示通り継続して使用することが重要です。「お薬はできるだけ少量に留めたい、早く終了したい」「あまり痒がらないから塗りたくない」などで、勝手な使い方をしてしまうと効果が実感できず、かえって治療期間も長くなってしまいます。十分に皮膚の赤みや、かさつき、痒みが改善した状態で外用薬を変更、減量します。減量する場合は急に外用薬を中止するのではなく、1日2回塗布していたものを、1日1回、隔日、という様に徐々に減量します。一見、治った様に見えても、皮膚の深部では炎症が燻っており、急に外用薬を終了するとすぐに症状が再燃してしまいます。予防的に外用療法を継続することで良好な皮膚の状態を維持することができます(これをプロアクティブ療法といいます)。

↑プロアクティブ療法の図

(痒みや湿疹があるときだけ、ステロイド外用薬を使用していると、かえって治療が長びいてしまう)

外用薬の使用方法
  • 1日2回(医師の指示した回数)、幹部に塗布します。塗布量の目安として、大人の人差し指の先端から第1関節までチューブを押し出した軟膏量(ローションの場合は1円玉1枚分くらいの大きさ)で、大人の手のひら2枚分の面積の皮膚に塗布するのが目安です。この軟膏の量を1FTU(フィンガーチップユニット)と表現します。塗布したああと、塗布面がテカテカとしており、ベタつきが感じられる程度が適切な外用薬塗布量の目安です。
内服療法
  • 内服薬としては、痒みを軽減させる抗ヒスタミン薬が用いられます。痒みが強くて、夜眠ることができなかったり、我慢できずに搔爬が止まらない場合などに用います。ただし、ステロイド外用薬の様に、皮膚の炎症を抑えることは出来ませんから、あくまで痒みが強い間の補助的な治療です。