舌下免疫療法
アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)について
当院では、スギ花粉症およびダニアレルギーに伴う通年生アレルギー性鼻炎のアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)を行なっています。アレルゲン免疫療法とは、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、根本的な体質改善が期待できる治療法です。
このページでは、主にスギ花粉症を例に解説しますが、治療法などはダニアレルギーの場合もほとんど同じです。
当院ではスギ花粉症およびダニアレルギーに伴う通年生アレルギー性鼻炎のアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)を行なっています。アレルゲン免疫療法とは、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、根本的な体質改善が期待できる治療法です。現在はスギ花粉症と、ダニアレルゲンによる通年生アレルギー性鼻炎の治療が可能です。このページでは、主にスギ花粉症を例に解説しますが、治療法などはダニアレルギーの場合もほとんど同じです。
スギ花粉症とは
花粉症とは、植物の花粉が原因となって、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒みなどのアレルギー症状をおこす疾患です。様々な花粉で生じる症状のうちでスギ花粉が原因(アレルゲン)となるものを、スギ花粉症といいます。日本人の約 4 人に 1 人がスギ花粉症であるというデータがあります。
スギ花粉症における小児の特徴
スギ花粉症の小児が増加、低年齢化しています。最近では幼児期に花粉症と診断されることも珍しくはありません。ただし、小児は様々なウイルス感染に伴って鼻水などの症状を認めるため、花粉症との区別が難しい場合があります。症状を放置すると中耳炎を合併したり、ぐっすり眠ることができず日中の集中力が低下したり、顔を擦ってしまい皮膚が荒れたりと弊害があります。成人に比べて外で遊ぶ時間が多い、帰宅後の洗顔や着替えといった日常生活での花粉症対策がとりにくいのも特徴です。
スギ花粉症の治療
スギ花粉症の治療の基本は、アレルゲンであるスギ花粉の暴露を可能な限り回避することです。症状を緩和するためには、外出時にマスクやメガネを着用する、帰宅したらシャワーを浴びて着替えをする、室内や寝具を清潔にするなど日常生活で注意することが大切です。
以前に比べて使用できるお薬の種類も増えました。小児でも安全に使用することができ、効果も期待できます。眠気などの副作用もだいぶ改善されています。薬物治療の第一選択はこれらの抗アレルギー剤です。当院でもアレルゲン免疫療法をお勧めする前に、まずは抗アレルギー剤による治療を行なっています。
ただし、抗アレルギー剤でも効果が不十分で、お薬の併用が必要な場合もあります。また体質から眠気などの副作用が強くて抗アレルギー剤が使いにくい場合もあります。この様な場合にはアレルゲン免疫療法を試してみる価値があります。
当院ではぜん息の診断と治療に呼気NO測定を用いています。ぜん息の患者では呼気ガス中のNOが健常者に比べて高いことが知られています。気道の炎症が強いと呼気NOは上昇し、吸入ステロイドなどを用いた適切な治療を行うことで低下します。呼気NOを測定することで気道の炎症レベルを客観的に評価して、治療に役立てることができる可能性があります。
診断
- レントゲン検査
- 血液アレルギー検査
気道炎症の評価
- 呼気NO測定
気道の狭窄
- フローボリューム曲線
- ピークフロー
- 血液酸素飽和度
アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法とは
アレルゲン免疫療法開始まで
アレルゲン免疫療法は、スギ花粉症であると診断された患者さんが開始することができます。当院では症状からスギ花粉症が疑われる患者さんで、アレルギー検査で確認できた場合に治療を行います。
当院がアレルゲン免疫療法をお勧めする患者さん
- スギ花粉の飛散時期以外は症状を認めない
- 抗アレルギー剤の治療で効果が不十分
- 眠気などの副作用で抗アレルギー剤が使用できない
- 小学生以上など
スギ花粉症の舌下免疫療法の実際
治療の開始時期
- スギの舌下免疫療法はスギの花粉が飛散していない時期に開始します。当院では毎年6月から11月末までを治療開始時期としています。
服用期間の例
- 1日1回、少量から服用を始め、その後決められた一定量を数年間にわたり継続して服用します。
- 初めての服用は医師の体調管理のもと院内で行い、2日目からは自宅で服用します。概ね1か月に1回通院して診察と処方を行います。
服用方法の例
- 治療薬を舌の下に置き、1分間保持したあと飲み込みます。その後 5 分間はうがい・飲食を控えます。スギ花粉が飛んでいない時期も含めて毎日服用します。
服用時に避けること
- お薬を服用する前後 2時間程度は、激しい運動、入浴などを避けるようにしてください。
主な副作用
- 口内炎や舌の下の腫れ、口や喉のかゆみなど。
↑服用期間の例
重大な副作用
ごくまれにアナフィラキシー症状を認める場合があります。アナフィラキシーとは医薬品などによる急性の過敏反応で、医薬品を投与後30分以内に全身のじんま疹、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、ショックなどを伴う場合があります。
舌下免疫療法でアナフィラキシーを呈するのは、投与量を間違えたり、休薬のあと勝手にお薬を再開するなど、正しく服薬が行われていなかった場合がほとんどです。適切に治療が継続れできれば、この様な重篤な副作用を生じる可能性はほとんどありません。