発熱時に抗生剤は使うもの?
2020.06.13更新
抗生剤は細菌感染症の際に使う薬です
抗生剤は細菌を殺すための薬です。実は子供の発熱の約8割はウイルス感染など細菌以外の原因によるものです。これらの病気には抗生剤はまったく効かないばかりか、下痢をしてしまったりと不利益がある場合があります。
以前は、乳児が発熱すると細菌性髄膜炎や敗血症の鑑別が大切でした。それは、もちろん今も変わりませんが、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンを皆が接種するようになり、これらの重篤な細菌感染症のリスクは大きく低下しました。また、これらの原因となる細菌には抗生剤に対する耐性菌が多く、そもそも一般的に処方される抗生剤ではあまり効果が期待できません。
抗生物質が発明されて、私たちは多くの病気を克服してきました。今でも感染症治療の主役は抗生物質です。でも、発熱したらいつでも抗生剤を使うのではなく、しっかりと病気を見極めて必要性を判断、使用するのであればどんな種類の抗生剤を使うのか、何日間継続して使うのか、を決めなくてはなりません。
日本は世界の中でも、特に多くの抗生剤を消費する国のひとつです。結果、抗生剤の効かない細菌(耐性菌)が増えて、病気の治療が難しくなっているという現状があります。ご家族と私たちが一生懸命お話しして、本当に必要な薬だけを選択してゆく必要があります。
抗生剤を使用する際の注意
最後に、抗生剤の使い方についてお願いです。私たちが抗生剤を処方する際は、明確な目的をもって処方しています。症状が改善しても、途中で服薬を中断することなく、医師の指示通りにすべて服薬してください。仮に自宅に残った抗生剤があったとしても、ご家族の判断でそれを使用しないでください。一言で抗生剤といってもその中には多くの種類があります。私たちはそれを病状によって使い分けますが、診察前に抗生剤が投与されてしまうと病気の診断が難しくなってしまう場合があります。
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