よくある質問

2022.01.21更新

小児のコロナワクチンについて
2022 年 1月、5 歳から 11 歳までの子どもたちへのコロナワクチン接種が決まりました。当院でも 2022 年 3月以降接種を開始する予定があります。当院の小児におけるコロナウイルスワクチンの考え 方についてお話しします。
ファイザーおよびモデルナ社のワクチンは、これまでのワクチンとは異なった考え方で作られたワク チンです(2022 年 1月現在、5 歳から 11 歳までの小児に接種が認めれれている新型コロナワクチンは ファイザー製のみです)。
有効性は非常に高く、9 割以上の感染予防と重症化抑止ができます。このデータはオミクロン株流行 前のものですが、日本小児科学会ではオミクロン株においても「重症化を防ぐことはできる」と考え ています。
アナフィラキシーなど重篤な副反応に関しては、その頻度は他の小児ワクチンと差がありません。頭 痛や筋肉痛、発熱などの反応は他のワクチンに比べて多いですが、これらの症状が重篤化することは なく多くは接種後 1−2日で改善します。新しく承認された 5 歳から 11 歳において副反応が増加すると いうデータはありません(主な副反応は接種した部位の痛み約 70 %、38 度以上の発熱 3-7 %など)。
オミクロン株の流行以降、幼児や小学生にも感染者が急増しています。ただしインフルエンザなど多
くの感染症と異なり、コロナウイルス感染症は成人の方が重症化しやすく、小児の重症例は稀です。


当院のコロナワクチンの考え方
当院では高校生以上の方には積極的に接種をお勧めします。12 歳以上の小、中学生では気管支喘息、 てんかん、染色体異常など基礎疾患のある方には接種をお勧めします。また、課外活動などに参加す ることが多い方も接種を検討すべきだと思います。
5 歳から 11 歳の幼児、小学生に関しては各ご家庭、小児一人一人につて個別に上記メリットとデメリ ットを考慮して接種するか判断しなければいけないと思います。先に書いた通り、この年齢において コロナウイルス感染症が重症化するリスクは(もちろんないわけではありませんが)あまり高くはあ りません。ただし、今後感染者が増えれば少なからず重症化する小児も出ることでしょう。また、特 にオミクロン株の流行後、この世代を介して家族に感染が拡大するケースが増加しています。ご家庭 によっては赤ちゃんや妊婦、高齢者、基礎疾患を持つ方が同居しているケースもあるでしょう。ま た、感染者は重症ではなくても発症後少なくとも 10日間は自宅療養が義務付けられ、濃厚接触者は 14 日間の自宅待機が必要になるため、家族が順番に感染した場合は日常生活に戻るまでに 1 ヶ月くらい の期間を要するなど、社会的、経済的影響も非常に強くなります。つまりコロナワクチンはこれまで の「子どもたちを守る」という目的と共に「家族全体の感染防護をどこまで考えて、それに子どもた ちにも協力してもらうのか」という考え方も必要になります。
小児の接種に関してはご不安も多いことと思います。各ご家庭において子どもたちへの接種の必要性
について一度ご相談ください。当院ではその判断のお手伝いをさせて頂きます。

5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方|公益社団法人 日本小児科学会 "公益社団法人 日本小児科学会公式サイト"

http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=404

 

子どもの新型コロナワクチン接種の考え方(ポイント)"ワクチンで防げる病気(VPD)を知って子供たちの命を守ろう。"

https://www.know-vpd.jp/news/mRNA.php

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2020.05.30更新

1.小学校入学前に接種すべきワクチ

 母子手帳にてお子さまの接種歴を確認してみてください。不足しているかな?と感じた場合はお気軽にご相談ください。

 小学校入学前に接種すべきワクチン

 

 麻疹風疹ワクチン(MR)、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチンは1回では不十分です。2回接種することでほとんどの人がこれらの病気にかからなくなり、かかったとしても軽い症状で済むことができます。

 四種混合ワクチンで予防することができるジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオですが、小学校入学頃になると徐々にその抗体が低下してきていることが解ってきました。実際、5歳頃から急激に百日咳患者が増え、患者の多くが小学生〜中学生です(図1)。これを予防するために小学校入学前に三種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳)と不活化ポリオワクチンの接種をお勧めしています(任意接種)。また11〜12歳で接種する二種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風)(定期接種)を三種混合ワクチンに変更することもできます(任意接種となります)。

百日咳の年齢分布

 

2.小学校以降で接種するワクチン

・日本脳炎ワクチン(9〜12歳)(定期接種)

・二種混合ワクチン(11〜12歳)(定期接種)三種混合ワクチンに変更可能(任意接種)

・HPVワクチン(小6〜高1相当女子)(定期接種)現在は接種の積極的勧奨が控えられていますが、子宮頸がんを予防することのできる大切なワクチンです。ぜひ接種をご検討ください。

・髄膜炎菌ワクチン(2歳以上)(任意接種)高校や大学で寮生活をする場合、海外留学を検討する場合は接種をお勧めしてます。

・インフルエンザワクチン(毎年)(任意接種)

 

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール 

 

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2019.12.30更新

百日咳菌によって発症する呼吸器感染症です。
百日咳は近年、学童や成人の感染が増加し、年間1万人くらいの方が発症していると考えられています。幼児期に接種する四種混合ワクチン(DTaP-IPV)で予防が可能ですが、5歳頃までに基礎免疫が徐々に低下して再び感染のリスクが高くなります。ただ学童や成人の場合、咳が長引く程度で百日せきと気が付かない場合も少なくありません。そのような方を介して赤ちゃんが感染してしまうことが問題になっています。四種混合ワクチンが完了していない赤ちゃんが感染すると呼吸困難、無呼吸発作や突然死、脳症などで重篤な後遺症を残したいり死に至る危険性もあります。

• 咳が出るときはあまり赤ちゃんに近づかないで下さい。手洗いやマスクで感染を予防します。

• 検査、治療が可能ですから咳が長引く場合は受診してください。

• 日本小児科学会では百日咳の予防のために三種混合ワクチンの追加接種を推奨しています(任意接種)。小学校に入る前の1年間、11歳から12歳頃の2回の接種を是非ご検討ください。「自分自身と大切な家族を守るためにお兄ちやん、お姉ちゃんが頑張ろう!」

百日咳 

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2019.06.27更新

髄膜炎菌は健康な人の喉や鼻腔にも存在しています。人から人へ感染し、血液や髄膜に侵入すると全身に広がって敗血症、髄膜炎、髄膜脳炎などの侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)を引き起こします。発症率はそれほど高くはありませんが、ひとたびIMDを発症すると進行が非常に速く、重症化して死に至る危険性もあります。

発症初期の症状は発熱や頭痛、嘔吐などで風邪症状との区別が困難です。進行した場合の致死率は19%程度と報告されていて、発症から24〜48時間で5〜10%が死亡し、回復しても10〜20%の患者さんに難聴や神経障害、循環不全による四肢の壊死など回復困難な後遺症を残します。

世界では毎年50万人が髄膜炎菌感染症を発症し、5万人が死亡していると推定されています。途上国以外でもアメリカやイギリス、オーストラリアなどでも多くの報告があります。国内での発症はこれらの国に比べると多くはありませんが、高校の運動部の寮で集団発生したケースなどがあります。

 

治療が難しい髄膜炎菌感染症ですが、髄膜炎菌感染症にはワクチンが存在します。

アメリカやカナダ、オーストラリア、イギリスなどでは髄膜炎菌ワクチンは定期接種となっています。残念ながら日本では任意接種となりますが、2歳以上で接種が可能です。高校や大学の部活動などで寮生活を検討する場合、海外留学をする場合などに接種をお勧めします。

 

日本ではメナクトラというワクチンが接種可能です。髄膜炎菌には複数の株が存在します。このうち血清型A、B、C、Y、W-135がIMDの原因となります。メナクトラはこのうち4種類の抗原(血清型A、C、Y、W-135)を含みます。接種回数は1回です。

 

 

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

ロタウイルスは乳幼児の胃腸炎の主な原因です。嘔吐と下痢、発熱が主な症状です。冬から春にかけて流行し、「白っぽい下痢」、「酸臭の下痢」としてよく知られます。世界では年間約53万人の子供たちが命を落としているという報告があります。日本でも6歳未満の小児のうち年間約80万人が外来受診していると予想され、うち10%程度が脱水をきたし、入院治療を要するケースも少なくありません。脳炎や腸重積症、腎不全などの重篤な合併症が存在するのも特徴です。伝染力は非常に強く、感染者の便から数週間〜1か月程度排出されます。

ロタウイルスは多くは初感染で重症化します。5歳頃までにほぼ100%の乳幼児が感染し、感染を繰り返すと徐々に軽症化します。小学生や成人でも感染する場合がありますが、3回目以降の感染では多くは無症状、あるいは軽症です。

●ロタウイルスワクチン
ロタウイルスワクチンは現在2種類が存在しています(ロタリックスとロタテック)。いずれも生ワクチンです。どちらも生後6週以降(当院の推奨は生後2か月からヒブ、肺炎球菌、B型肝炎ワクチンとの同時接種)14週6日までに初回接種を開始することが推奨されます。両者の特徴は以下の通りです。

・ロタリックス:2回接種。対応するウイルス株は1種類ですが、それ以外の株に対しても病気の発症を抑えることができます。2回の接種で済むため比較的ワクチンスケジュールが組みやすく、短期間で病気に対する抵抗力をつけることができます。

・ロタテック:3回接種。対応するウイルス株は5種類で、より多くの種類のロタウイルスに対して抗体を獲得することができます。これは非常に有効な特徴ですが接種回数が多いために同時接種を導入しないとロタウイルス、同時期に接種が推奨されるヒブ、肺炎球菌などの感染症予防が遅れてしまう可能性があります。

副作用としては10%未満の確率で下痢が認められます。ロタウイルスの経口生ワクチンが初めて使用された際、腸重積症の報告が増加しました。現在流通しているものとは全く別のワクチンであり、ロタリックス、ロタテックに関しては腸重積症の患者が有意差をもって増加したとの報告はありません。ただ、ロタウイルスの経口生ワクチンを使用する際には、有効性とともに腸重積症の症状(激しく間欠的な啼泣、嘔吐、血便)を理解して子供たちの体調変化に気を配る必要があるでしょう。ワクチン使用後、7日以内に発症する可能性があり、1か月程度は経過観察を要すると思われます。

日本では比較的新しいこれらのワクチンですが、既に海外では多くの国で採用されています。どちらのワクチンも有効率は非常に高く、80%以上の確率で感染を防止し、90%以上の確率で重症化を防ぐと予想されます。ロタウイルスの危険性を考慮すると是非接種いただきたいワクチンです。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによっておこるウイルス感染症です。主な症状は高熱、頭痛や咽頭痛、関節痛、咳や鼻汁です。発熱は無治療ではだいたい5日間くらい続きます。感染してから発熱などの症状が現れるまでの潜伏期はだいたい2~3日です。

●インフルエンザの合併症
注意すべき合併症は肺炎と脳炎・脳症です。意識障害、痙攣、異常行動(奇声をあげる、意味のわからない発言や行動など)の症状がある場合には直ちに受診が必要です。抗インフルエンザ薬(タミフルなど)と異常行動の関連が疑われましたが、現在はインフルエンザ感染自体が異常行動の原因と考えられています。抗インフルエンザ薬の使用の有無にかかわらず、お子さんを一人で寝かせたり、お留守番させたりすることなく見守ってあげてください。

●インフルエンザの診断
迅速診断キットでその場で診断が可能です。十分にウイルスが増殖していないと検査が陽性になりません。だいたい発熱後6時間で5割程度、12時間で8割程度が陽性になります。発熱後まもなくでも症状が強く、インフルエンザが疑わしい場合には検査の結果を待たずに抗インフルエンザ薬の治療を開始する場合があります。

●インフルエンザの治療
他の病気と同様に、インフルエンザの治療でも最も大切なことはしっかりと休養を取ることです。症状をよく観察しながら十分に水分をとらせて、汗などの対処をして休ませます(「よくあるご質問」の中の「発熱時のケア」を参照してください)。

症状が強い場合には抗インフルエンザ薬を使用します。抗インフルエンザ薬はインフルエンザの増殖を抑えてその症状を和らげる、解熱までの期間を短縮する、合併症の発症を抑制する効果が期待されます。でも、抗インフルエンザ薬はインフルエンザウイルスを殺すわけではありませんから過信は禁物です。

現在、抗インフルエンザ薬には以下のように複数の種類があります。症状が改善しても途中で使用を中止することなく医師の指示通り最後まで使用することが大切です。その他、一部の漢方薬などで症状を緩和することができます。発熱がつらい場合は解熱剤を使用します。小児の場合は必ずアセトアミノフェンが主成分の解熱剤(アンヒバ座薬やカロナールなど)を使用します。

※抗インフルエンザ薬の種類
・内服薬 タミフル(1日2回 5日間内服します)
・吸入薬 リレンザ(1日2回 5日間吸入します) イナビル(1回吸入で効果が持続します)
・注射薬 ラピアクタ(1回注射で効果が持続します) 

●出席停止期間
インフルエンザの出席停止期間は以下のように決められています。
「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」

●インフルエンザの予防
インフルエンザが発症してからの抗ウイルス薬の投与では脳症などの合併症を完全に抑止することはできません。インフルエンザの予防にはワクチン接種が大切です。集団生活をしている場合、喘息など基礎疾患がある場合、ご家族に小さなお子さんや妊娠中の方がいる場合には積極的にワクチン接種を済ませましょう。インフルエンザワクチンは任意接種で生後6か月から接種可能です。妊娠中でも接種可能で、母親がワクチンを接種すると生まれた赤ちゃんにも効果が期待できます。ワクチンの効果が現れるのは2回目の接種終了後だいたい2週間後からです。流行前に接種を完了することが大切です。流行期には人ごみをさけて、マスク着用、手洗いうがいなど感染予防に努めてください。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

●B型肝炎とは?
B型肝炎ウイルスの感染によって発症します。伝染力も非常に強いウイルスです。黄疸、発熱、腹痛、全身倦怠感などの症状を認めます(急性肝炎)。急性肝炎の予後は比較的良好と考えられていますが、時に感染が持続して慢性肝炎、肝臓がんの原因となります。これまで乳幼児のB型肝炎ウイルス感染は慢性化しやすく、成人の感染は急性感染が多いと考えられてきました。しかし近年、海外から肝炎ウイルスが持ち込まれるケースがあり、この場合は成人でも慢性化する可能性があります。

感染経路として最も多いのは母子感染です(お母さんがB型肝炎ウイルスのキャリアーの場合、出産の際に赤ちゃんが感染します)。次いで性交渉などによる感染があげられます。また頻度は少ないものの感染経路がはっきりしない例も存在します(父子感染など家族内での感染、保育園など集団生活などでの感染が考えられます。感染者のだ液や、汗、涙などにもウイルスが存在することが知られています)。

●感染予防
B型肝炎ウイルスの感染予防を考えるとき、急性感染と慢性持続性感染を分けて考える必要があります。まず、最も感染リスクの高い母子感染予防に関しては、現在、母親がB型肝炎ウイルスのキャリアーの場合、保険治療で赤ちゃんのガンマグロブリン投与とワクチン接種が行われています。
慢性化してしまう可能性が高く、集団生活する機会の多い乳幼児に関しては任意接種のワクチンにより感染を予防すべきです。海外には感染者の多い国が少なからず存在し、この様な国に渡航する場合や性交渉する可能性のある世代もまた感染予防の適応と考えます。

●B型肝炎ワクチン
特に慢性化しやすい乳幼児のB型肝炎ウイルスワクチンは肝臓がんの予防ワクチンと考えることもできます。WHO(世界保健機関)ではB型肝炎ワクチンをすべての子供たちが接種すべきワクチンと位置づけていますが、感染リスクの比較的低い日本において定期接種は行われていません。母親がB型肝炎ウイルスのキャリアーである以外のB型肝炎ウイルスワクチンの接種は任意接種となります。B型肝炎ワクチンはどの年齢でも接種可能なワクチンですが、特に慢性化しやすい乳幼児に積極的に接種が勧められます。初回接種2回と半年~1年後にもう1回接種します。ワクチンは20年程度有効と考えられますが、感染リスクが高い国に渡航する場合などには追加接種を考慮します。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

おたふくかぜウイルス(ムンプスウイルス)の感染によって発症します。日本では毎年約60万人が発症しています。かかっても軽症の場合が多いのですが、重い合併症を引き起こす場合があります。
2~3週間の潜伏期の後に、両方またはどちらかの耳下腺がはれてきます。触ってもはっきりしたしこりに触れるわけではありませんが、家族など周囲の人が見るとはれているのに気がつきます。しばらくすると反対側も腫れてきます。発熱は起こることも、起こらないこともあります。症状が出ない(不顕性感染)場合もあります。またおたふくかぜ以外でも、耳下腺が腫れることもあります。周りでおたふくかぜが流行しているかどうかも診断の助けになります。

おたふくかぜには多くの合併症があります。約50人に1人の割合で無菌性髄膜炎が起こります。これを発症すると強い頭痛を訴え、嘔吐することもあります。約1,000人に1人の割合で、一生治らない重度の難聴になることがあります。年間700人くらいがかかっていると推定されています。毎年約30人に脳炎が起こっていて、障害が残ったり死亡したりすることもあります

⚫︎難聴に注意!

おたふく風邪の合併症のひとつが難聴です。約1,000人に1人の割合で発症します。年間700人くらいがかかっていると推定されています。多くの場合は片側性ですが、時に両側の難聴となります。治療は困難で一生治らない重度の難聴になることがありますから、ワクチンで未然に予防することが大切です。

 

●おたふくかぜワクチンは2回接種を!

多くの国では1回の接種では予防効果が不十分として2回接種が行われており、当院でも2回接種をお勧めしています。1歳を過ぎたらできるだけ速やかに初回接種を済ませて、3~5歳頃に2回目接種を行います。遅くともMRワクチンと同じ頃(就学前の1年間)までに接種を済ませることをお勧めしています。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

●みずぼうそう(水痘)とは?
みずぼうそうは水痘帯状疱疹ウイルスによって起こる感染力が大変強い病気です。多くの場合それほど重くなりませんが、重症になる例があり、命を落とす場合もあります。通常2~3週間の潜伏期の後に熱が出て、体に虫さされのような赤い斑点が出てきます。1日くらいでそれが水ぶくれになって、全身に広がります。強いかゆみもあります。熱は数日でおさまって、水ぶくれの所も黒いかさぶたがつくようになり、7日くらいでおさまります。平成26年10月に水痘ワクチンが定期接種化されました。それまでは日本国内で年間100万人くらいいると予想された患者数は定期接種導入後劇的に減少しました。

軽いと思われるみずぼうそうですが、脳炎や肺炎、皮膚の重い細菌感染症など多くの合併症が知られています。日本でも、約3,000人が重症化し、10人以上が毎年みずぼうそうで死亡しています。特に重症になりやすいのは、1歳前、7~10歳以上、アトピー性皮膚炎など皮膚の病気のある人などですが、健康な子供や大人も重症になるのが問題です。

●みずぼうそうと帯状疱疹
みずぼうそうと帯状疱疹は、共に水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こります。みずぼうそうはこのウイルスにはじめて感染したときに起こる病気の姿です。帯状疱疹とは、体の片側に強い痛みと痒みを伴う発疹が出現する病気です。時に痛みが長期間に及ぶこともあります(帯状疱疹後神経痛)。みずぼうそうに罹患するとウイルスは完全に排除されることはなく、一部は私たちの神経節という場所にずっと住み続けます。みずぼうそうに罹患したことのある人(既感染者)が、ストレス、疲労や加齢、特定の病気の治療を受けて水痘に対する抵抗力が落ちると、みずぼうそうのウイルスが再び活性化して帯状疱疹を引き起こします。
帯状疱疹はみずぼうそうの抗体が維持されていれば、仮に水痘ウイルスが神経節の中に残っていても発症しません。これまでは毎年多くのひとがみずぼうそうに罹患していましたから、知らぬ間にみずぼうそうの患者と接触することで免疫力が高まり(追加免疫)帯状疱疹を発症することも防がれていました。子供たちと多く接触する保育園の先生には帯状疱疹が少ないというのはよく知られている話です。ただし、今後水痘の患者が減少するとこの追加免疫を得ることができなくなり、水痘の既感染者の中に帯状疱疹の発症率が増加すると思われます。帯状疱疹を予防するには、まずワクチンでしっかりとみずぼうそうを予防すること、既にみずぼうそうに罹患してしまった場合は、日頃から十分に健康に気をつけることが重要です。

●水痘ワクチンは2回接種を!
水痘ワクチンは26年10月から定期接種になりました。2回接種が基本です。定期接種の対象年齢は1歳と2歳です。1歳をすぎたらできるだけ速やかに初回接種を済ませて、3か月以上を経過したら(できるだけ2歳の誕生日までに)2回目の接種を済ませます。

※定期接種の機会を逃してしまった場合も任意接種として合計2回の接種をお勧めします。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

●結核とは?
結核は結核菌による細菌感染症です。先進国では減少傾向にある病気ですが日本では未だに毎年多くの人が感染しています。感染した場合、すべての人が発症するわけではなく高齢になってから、免疫力を落とすような病気になった場合に発症することもあります。微熱や咳など、風邪のような症状が長引く場合もありますが、乳幼児が感染した場合には肺結核(粟粒結核)や、結核性髄膜炎など非常に重篤な経過をとる場合もあります。また、治癒に半年以上を要するなど、治療が難しい病気でもあります。感染経路は空気感染、飛沫感染で患者さまの咳などで感染します。家族内、集団生活などで多くの方が感染する可能性があります。

●BCG
結核菌に対する予防接種がBCGです。結核菌に自然感染する前にBCGを接種することで発病する機会を大幅に減らすことができます。特に粟粒結核、結核性髄膜炎にはBCGは極めて有効です。
現在、日本では定期接種としてすべての子供たちが接種すべきワクチンです。生後3か月から7~8か月頃までに接種することが推奨です(平成24年度までは生後6か月未満、平成25年度以降は生後12か月未満が定期接種対象年齢です)。

●BCG接種の注意点
BCGは他のワクチンに比べても副作用の少ないワクチンです。接種部位を刺激しすぎるとケロイドとして跡を残す場合があります。接種後は直射日光を避けてこすったりしないでください。BCG接種の場合はゆったりした長袖でお越しいただくことをお勧めします。「BCG跡が目立たないように」と、洋服に隠れる肩に近い部分への接種を希望される場合がありますが、このような場所は衣類にこすれてケロイドになりやすいです。だいたい上腕の真ん中あたりに接種します。

●BCG接種後の皮膚変化(コッホ現象)
BCGを接種したところは接種後10日頃から赤くなりはじめ、1~2か月するとかさぶたになります。かさぶたになっても強くこすったりしないで清潔にして自然にきれいなるのを待ってください。
このような通常の反応より早く、接種後10日以内(多くは接種後2~3日)に接種部位に発赤やかさぶたが現れることをコッホ現象といいます。赤ちゃんがBCGを接種する前に既に結核に感染している場合があります。接種医にご相談ください。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

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