●B型肝炎とは?
B型肝炎ウイルスの感染によって発症します。伝染力も非常に強いウイルスです。黄疸、発熱、腹痛、全身倦怠感などの症状を認めます(急性肝炎)。急性肝炎の予後は比較的良好と考えられていますが、時に感染が持続して慢性肝炎、肝臓がんの原因となります。これまで乳幼児のB型肝炎ウイルス感染は慢性化しやすく、成人の感染は急性感染が多いと考えられてきました。しかし近年、海外から肝炎ウイルスが持ち込まれるケースがあり、この場合は成人でも慢性化する可能性があります。
感染経路として最も多いのは母子感染です(お母さんがB型肝炎ウイルスのキャリアーの場合、出産の際に赤ちゃんが感染します)。次いで性交渉などによる感染があげられます。また頻度は少ないものの感染経路がはっきりしない例も存在します(父子感染など家族内での感染、保育園など集団生活などでの感染が考えられます。感染者のだ液や、汗、涙などにもウイルスが存在することが知られています)。
●感染予防
B型肝炎ウイルスの感染予防を考えるとき、急性感染と慢性持続性感染を分けて考える必要があります。まず、最も感染リスクの高い母子感染予防に関しては、現在、母親がB型肝炎ウイルスのキャリアーの場合、保険治療で赤ちゃんのガンマグロブリン投与とワクチン接種が行われています。
慢性化してしまう可能性が高く、集団生活する機会の多い乳幼児に関しては任意接種のワクチンにより感染を予防すべきです。海外には感染者の多い国が少なからず存在し、この様な国に渡航する場合や性交渉する可能性のある世代もまた感染予防の適応と考えます。
●B型肝炎ワクチン
特に慢性化しやすい乳幼児のB型肝炎ウイルスワクチンは肝臓がんの予防ワクチンと考えることもできます。WHO(世界保健機関)ではB型肝炎ワクチンをすべての子供たちが接種すべきワクチンと位置づけていますが、感染リスクの比較的低い日本において定期接種は行われていません。母親がB型肝炎ウイルスのキャリアーである以外のB型肝炎ウイルスワクチンの接種は任意接種となります。B型肝炎ワクチンはどの年齢でも接種可能なワクチンですが、特に慢性化しやすい乳幼児に積極的に接種が勧められます。初回接種2回と半年~1年後にもう1回接種します。ワクチンは20年程度有効と考えられますが、感染リスクが高い国に渡航する場合などには追加接種を考慮します。