麻しんウイルスによるウイルス感染症です。肺炎や脳炎といった重篤な合併症が多く、命を落とすこともある非常に危険な病気です。飛沫感染や空気感染し伝染力も非常に強いのが特徴です。日本ではワクチンの効果により感染者は減少していますが、ワクチン接種前1歳未満で感染する例や、最近では成人での感染例も認められます。海外では流行している地域も少なくなく海外旅行で感染するケースもありますので、渡航前に主治医に相談してください。
●麻しんの症状
潜伏期は10〜14日程度です。はじめは高熱と咳、鼻などに症状があらわれます。3〜4日すると少し熱が下る場合がありますが、その後再び高熱を認めるようになります。咳などの症状もいっそう強くなります。再び高熱を認める頃から体に発疹が出現します。発熱から解熱まで1週間から10日間位を要します。
●合併症
麻しんに罹患すると多くの人が肺炎を合併します。その他、脳炎などの発症率も高いです。稀ではありますが、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる病気になることもあります。これは麻しんにかかって数年してから、知能の障害と痙攣が起こり、発病がわかります。残念ながら根本的な治療法はありません。
●治療とワクチン
麻しんの治療法はありません。麻しんは非常に重篤な病気です。ワクチンで予防しましょう。麻しんの予防には2回の予防接種が重要です。定期予防接種(1回目:1歳以上2歳未満、2回目:小学校入学前1年間)を必ず接種してください。
ワクチン接種前に麻しんや風しんにかかったことがあると診断されても、できるだけMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)を接種しましょう。麻しんや風しんにかかったことがある人がMRワクチンを接種しても問題ありません。