お子さんが急に吐いたり、下痢をしたりすると、「何を飲ませればいい?」「食事はやめた方がいい?」と心配になりますよね。
嘔吐や下痢は胃腸炎でよくみられます。おうちでのケアは、失った水分を補うことが基本です。吐いているときと、下痢だけで食べられるときでは、食事や水分のとり方を少し変えてあげましょう。
ただし、すべてが胃腸炎とは限りません。まずは、受診を急ぐサインがないか確認してください。
まず確認したい、受診の目安
すぐに119番へ
呼びかけへの反応が乏しい、起こしても目を覚ましにくい、呼吸がおかしい・唇が紫色になっている場合は、救急車を呼んでください。意識がはっきりしないお子さんに、無理に飲ませないでください。
夜間でも、受診を急いでほしいとき
- 緑色のものを吐く、吐いたものに血が混じる
- 強い腹痛が続く、痛くて歩けない、激しく痛がることを繰り返す
- 血便や、黒くタールのような便が出る
- 少量ずつ飲ませても繰り返し吐き、水分がとれない
- おしっこが明らかに少ない・長く出ていない、口が乾く、元気がなくぐったりしている
- 生後3か月未満で38℃以上の熱がある
小さい赤ちゃん、とくに生後6か月未満では脱水が進みやすいため、嘔吐や下痢を繰り返すときは早めに受診してください。
吐いているときは、経口補水液を少量ずつ
一度にたくさん飲むと、また吐いてしまうことがあります。繰り返し吐いているときは食事を無理に勧めず、経口補水液を少量ずつ試しましょう。
- 吐いた直後はいったん休み、5〜10分ほどしてから始めます。
- 小さじ1杯(約5mL)を、5分おきに飲ませます。小さいお子さんにはスプーンを使うと量を調整しやすくなります。
- 吐かずに飲めるようなら、様子を見ながら1回の量を少しずつ増やします。急に一気飲みさせないようにしましょう。
- また吐いたら、5〜10分ほど休んで、より少ない量からゆっくり再開します。
母乳は続けて構いません。吐きやすいときは、1回を短めにして、こまめに授乳してみてください。
一度吐いたからといって、水分を何時間も止める必要はありません。ただし、飲めない状態が続くときや、おしっこ・元気が減っているときは、ご家庭で繰り返し試すより受診を優先してください。
どうして経口補水液がよいの?
嘔吐や下痢が続くと、水分だけでなく、ナトリウムなどの電解質も失われます。食事もとれていないときに、水やお茶だけで補おうとすると、電解質や糖分を十分に補えません。水だけの補水を長く続けると、体内の水分と電解質のバランスが崩れることもあります。
経口補水液は、ブドウ糖とナトリウムなどの電解質を適切なバランスで含み、腸から水分を効率よく吸収できるように調整されています。嘔吐を繰り返すときや、下痢が多く脱水が心配なときには、経口補水液を使いましょう。
スポーツ飲料やジュースは、経口補水液とは成分が異なります。糖分の多い飲み物をたくさん飲むと、下痢が悪化することもあります。経口補水液は製品の表示どおりに使い、薄めたり、ジュースなどを混ぜたりしないでください。
下痢だけなら、食事を止めすぎなくて大丈夫
吐いておらず、強い腹痛もなく、水分がとれて食べられる場合は、下痢をしていても食事をやめる必要はありません。
年齢に合った普段の食事を、食べられる量で続けましょう。おかゆだけにする必要はなく、母乳・ミルク・離乳食も続けて構いません。ミルクは薄めず、いつもの濃さで作ってください。
脂っこいものや冷たいものは、食べた後に気持ち悪くなったり、お腹が痛くなったりするようなら控えめに。一律に禁止するより、お子さんが無理なく食べられるものを選びましょう。ジュースや炭酸飲料など、糖分の多い飲み物の飲みすぎにも注意してください。
下痢で失った分の水分は、こまめに補います。下痢が多いときや食欲が落ちているときには、経口補水液も役立ちます。「飲むとまた下痢が出るから」と、水分まで減らさないようにしてください。
吐き気が落ち着いたら、食事はいつから?
水分がとれ、吐き気が落ち着いて食べられるようになったら、できるだけ早く、普段の食事を少量から再開しましょう。下痢が治るまで待つ必要はありません。
無理に食べさせる必要はありませんが、食べられるようになっても長く食事を制限することは避けましょう。食事がとれても水っぽい下痢が続く間は、水分補給とおしっこの確認を続けてください。
腹痛があるときに、見逃したくないサイン
腹痛は胃腸炎や便秘でも起こりますが、次のようなときは、早い治療が必要な病気も考えます。
腸重積症が心配なサイン
乳幼児で、急に激しく泣く・強くお腹を痛がることを繰り返す、顔色が悪くなる、吐く、ぐったりするといった場合は、腸重積症の可能性があります。
痛がっていない間は元気に見えることもあります。血便が出ないこともあるため、「血が出ていないから大丈夫」と待たず、急いで受診してください。
虫垂炎が心配なサイン
お腹の痛みが続いてだんだん強くなる、右下のお腹を痛がる、痛くて歩きたがらないといった場合は、虫垂炎などが心配です。
小さいお子さんでは、痛む場所がはっきりしなかったり、下痢を伴ったりすることもあります。典型的な症状がそろうのを待つ必要はありません。
ご家庭で病名を見分けようとするより、「いつもと違う痛がり方」「強い痛みが続く・繰り返す」を受診のサインにしてください。
薬と、おうちで気をつけたいこと
市販の吐き気止め・下痢止めや、以前もらった薬を自己判断で使わないでください。薬が必要かどうかは、年齢や症状によって異なります。
胃腸炎を家族に広げないために、おむつ交換や吐いたものの片づけの後、食事の前には、石けんと流水でよく手を洗いましょう。ノロウイルスなどでは、アルコール消毒だけでは十分ではありません。吐いたものや便は、使い捨て手袋・マスクを使って静かに拭き取り、袋に入れて処分してください。
受診のときに教えていただきたいこと
次のことが分かると、診察の参考になります。分かる範囲で大丈夫です。
- いつから、何回くらい吐いているか。吐いたものの色、最後に吐いた時刻
- 便の回数、水っぽさ、血が混じっていないか。最後に便が出たのはいつか
- どこを、どのように痛がるか。ずっと痛いのか、痛がる時間を繰り返すのか
- 飲めたものと量、食事の様子、最後におしっこが出た時刻
- 熱や元気の様子
吐いたものや便の色が気になる場合は、写真が参考になることもあります。ただし、撮影のために受診を遅らせないでください。
症状が続く、少しずつ悪くなる、いったん良くなってまた悪くなるときや、「いつもと違う」と感じるときも、ご相談ください。
夜間・休日に受診を迷ったら
- かながわ小児救急ダイヤル:#8000
平日(祝日を除く)18時〜翌朝8時、土曜・日曜・祝日8時〜翌朝8時
- かながわ救急相談センター:#7119
24時間・365日対応。受診の必要性や、受診できる医療機関を相談できます。
意識や呼吸に異常がある場合は、電話相談を待たず119番へ連絡してください。
日中の診療では、水分のとり方や食事の進め方も含めてご相談いただけます。お子さんの様子に合わせて、一緒に考えていきましょう。
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