よくある質問

2024.09.08更新

便秘とは長い間便が出なかったり、排便時に痛がってしまったり、時にお尻が切れてしまうような状態です。治療が必要な場合を「便秘症」と言います。
便秘は乳児期後半(離乳食が本格化した頃)と幼児(トイレトレーニングを開始した頃)に多く発症します。放置していると徐々に症状が悪化してしまいます。便秘症と診断されたらしっかり治療しましょう。

このような症状が認めらたら便秘が疑われます。
* 便の回数が週に3回未満、5日以上排便がない状態が時々ある。
* いきんでいるのになかなか便が出ない、苦しくて泣いてしまう。排便時にお尻から出血がある。
* 1日に何度も排便があるがいつも少量でコロコロの便。いつもお尻に粘土のような便が付着している。

便秘を放置すると難治化・重症化する(便秘の悪循環)
便秘は、放置しておくと難治化・重症化します。その理由は以下のように考えられています。
1. 硬い便を出して肛門が切れ、痛い思いをすると、2~3歳のお子さんは、次の排便を我慢してしまったり、肛門の筋肉を締めながら息むようになります。極端な例では、両足を X形にクロスして便を我慢します。便はしばらく我慢していると、出たくなくなりますから、そのまま大腸に便が残ります。
2. 大腸は、便から水分を吸収するのが仕事ですので、便 はどんどん硬くなり、いよいよ出る時には非常な痛みをともなうことになり、お子さん は益々便を我慢するようになり、悪循環となります。
3. そのようなことが続いていると、常に便が大腸にある状態が続くことになり、腸がだんだん鈍感になってしまいます。便秘でない人であれば、直腸に便が溜まると便意が生じる(ウンチをしたくなること)のですが、腸が鈍感になって便意がおこりにくくなる結果、益々便が長 く腸にとどまって硬くなってしまいます。
※ 毎日パンツやお尻ががべっとりしたうんちで汚れてしまう幼児、小学生が「うちの子はずっと下痢が続いている」あるいは「うちの子はうんちが出るのを教えてくれない」と言って受診することがあります。仮に毎日便が出ていてもこのような状態も便秘の可能性があります。しかもこのような状態はかなり発症から経過した重症の便秘です。腸が多量の便で満たされてしまって肛門が緩んでしまい、便が漏れ出してしまっているのです。勝手に肛門が緩んでいるので本人には便意がありませんからトイレに行くこともご家族に教えることもできません。このような症状が思い当たるなら早期に受診してあげてください。

トイレトレーニングについて
トレーニングを始めたばかりの頃はトイレで排便が出来たことを褒めるのではなく、お母さんと一緒にトイレに行けたこと、(便が出なくても)短時間で良いのでトイレに座れたことなどをほめてあげて下さい。好きなおもちゃを一つだけトイレに置いてあげたり、トイレに座れたら数ページだけ絵本を読んであげたりも良いかもしれません。逆に便があるまでずっと便座に座らせてしまったり、パンツにした時に叱ってしまうと子どもは排便を怖がるようになりトイレに行きたがらなくなったり、便秘が悪化する場合があります。便秘がある場合にはトイレトレーニングはせずにまずは便秘の治療を優先してください。

食事について
十分な食事量がないと便が出にくくなります。慢性的に便秘が続く場合は適切な食事量が確保できていてしっかり体重が増えているか確認する必要があります。特に乳児期に排便回数が少ない場合は母乳やミルク不足の大切なサインの場合が少なくありません。
食物繊維の多い食事が排便には大切です。葉物の野菜や根菜類などは食物繊維を多く含んでいます。幼児の場合はあまり食物繊維だけにこだわらずに、まずはご飯や野菜、蛋白質などをバランスよく食べられるように品目を増やすように練習しましょう。乳製品や酸味のある果物なども便を出しやすくしてくれます。

便秘の治療(便塞栓の解消と薬物治療)について
便秘の悪循環の結果、多量の便が腸に溜まっているお子さんではいきなり薬物治療を行なっても効果がありません。まずは浣腸や摘便(医師や看護師が便をかき出すこと)を行なって便の詰まり(便塞栓)を解消しなければいけません。場合によってしばらくの間、毎日浣腸を要する場合があります。便塞栓が解消したら便秘が再燃しないように薬物治療を継続します。
便秘の治療薬(下剤)は「便が硬くなりにくくする薬」と、「腸を刺激して便を出しやすくする薬』に分類されます。小児に処方される薬は副作用もほとんどなく、習慣性もありませんから安心して使用することができます。便秘を放置すると悪化してしまったり、トイレに行くことを怖がるようになってしまうため生活習慣の改善と薬物療法を組み合わせてしっかりと治療することが重要です。

当院で主に使用している治療薬
* 浸透圧性下剤「便を硬くしないための薬」(モニラック、酸化マグネシウム、モビコール)
* 刺激性下剤「腸を刺激して排便を促す」(ラキソベロン)
* 座薬(テレミンソフト)
* グリセリン浣腸

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2024.09.04更新

私たちの涙は常に産生されていて、目に潤いを与え清潔に保つ大切な働きがあります。
涙は涙道を通って鼻腔に排出されますが、生まれつき涙道の一部(鼻涙管)が細くてこの涙の循環が滞ってしまう赤ちゃんがいます。これを先天性鼻涙管閉塞症と言います。

先天性鼻涙管閉塞症の症状について
* いつも片目(時に両目)が涙でうるうるしている
* 生まれつき片目(時に両目)の目脂(目やに)が強い

症状は生まれてすぐから認められますから、生まれた産科で点眼などを処方されている場合も少なくないと思います。点眼で症状が改善しない場合、一度改善しても症状がすぐ再燃してしまう場合は眼科を受診してください。症状が軽症で受診を悩む場合などは一度当院にご相談をいただいても結構です。

赤ちゃんの目脂(目やに)の対処法
赤ちゃんの目脂(目やに)は鼻涙管閉塞症以外でも、さかさまつげ、風邪などに伴う結膜炎、また多少は普段特に原因がなくても認められます。多少の目脂は入浴の際に洗ってあげれば十分ですが、量が多い場合には以下のようにケアしてあげてください。
お湯で湿らせたガーゼなどで優しく拭ってあげてください。無理にこすり落とそうとするとまぶたや目を傷つけてしまいますから、目脂が溶けてから拭き取るようにしてください。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2024.09.04更新

あかちゃんのお尻や腰のあたりに、おしりの穴とは別に「くぼみがある」「シミのようなあざがある」「割れ目の線が真っ直ぐではなく大きく歪んでいる」などが気になる場合には、潜在性二分脊椎を疑う必要があります。ただし、おしりのくぼみなどは赤ちゃんによく見る症状です。多くの場合は問題はありませんのであまり心配しすぎないでください。
このような症状がある場合には当院にご相談をください。診察の結果、潜在性二分脊椎が疑われる場合には確定診断のための検査(MRIやエコー検査)を実施するためニ次医療機関へ紹介いたします。

(潜在性)二分脊椎の症状について
二分脊椎は胎児期に脊髄神経が作られる過程で問題があると発症します。
主な症状は下肢の運動障害、排尿・排便障害です。
* 歩行の遅れや異常、歩行時の痛みなど
* 夜尿や昼間の尿失禁、尿路感染症の反復など
* 慢性の便秘

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2024.08.02更新

ChatGPTを活用したAIチャットを実装しました。

病気のことや診療のこと、お気軽に質問してみてください。ただ、まだ実装したばかりで回答できない質問も多いようです。AIが皆さんの質問から徐々に学習を行なって回答の精度が上がってゆきます。また、皆さんからいただいた質問は当方でもすべて確認していますので、AIの学習に反映させたり、ホームページ内のコンテンツを充実させたり活用させて頂きます。AIが回答できなかった質問にも学習が進むといずれ回答できるようになるでしょう。少し時間をおいてまた質問してみてください。お急ぎの場合は、ぽっけ・あっぷりけに受診の際に、またお電話にてご質問いただいても結構です。

最終的には診察と並列で、お子さんのサポーターとして信頼いただけるよう育てたいと考えています。

 

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2024.07.31更新

早産児のフォローアップはしてもらえますか?
はい、可能です。

ぽっけ・あっぷりけキッズクリニックでは、各々感染症など一般の患者さんと診療時間を区別して早産児のフォローアップ、乳幼児健診、予防接種などを行なっています。適応のある乳児にはRSウイルスの予防(シナジス接種)も行なっています。

ご希望の方はお電話にてお気軽にご相談ください。

 

赤やんの授乳量や授乳頻度はどのように決めればいいですか?
生後3か月頃までは1から3時間おき、3か月以降は4時間おきくらいが目安です。ただ、個人差も大きいですから月齢を問わず「赤ちゃんが欲しがるときに、欲しがるだけ」が基本です。月齢が進むと徐々に授乳時間が開くはずです。
母乳は左右5〜10分くらいずつ。ミルクは容器に記載された量が目安になりますが、体重がしっかり増えていればあまりこの量を気にしなくても大丈夫です。
哺乳量に満足していれば哺乳後はすやすやお昼寝をする子が多いです。以下に列記するのは哺乳不足のサインです。思い当たる点がありましたらご相談ください。

哺乳不足のサインについて
・いつまでもおっぱいを離そうとしない。
・哺乳後もぐずってなかなかお昼寝をしない。
・月齢が進むにつれてむしろ授乳間隔が短くなってきた。
・体重があまり増えない。

思い当たる点がありましたらご相談ください。

 

授乳中の母親が食事に気を付けるべき食品はありますか?
まず避けてもらいたいのはアルコールやカフェイン(お母さんの気分転換に少量なら大丈夫です)。特に授乳前の摂取は控えてください。
食べすぎない方が良いのは脂質や糖質が極端に多い食品。インスタント食品や揚げ物、ケーキ、チョコレートなどです。またスパイスは母乳の風味や香りが変化するという説があります。
以前は母親が食べたものが赤ちゃんのアレルギーを発症させる可能性があると考えられていました。しかし今ではこれは誤っていることが証明されています。お母さんがバランスよく食事をすることは赤ちゃんにとってもとても大切です。

 

授乳中の母親が薬を服用してもよいですか?
多くの薬品は母乳に移行します。医師から処方を受ける際は必ず授乳中であることをお知らせください。薬局で購入するお薬に関しても薬剤師に相談して服用を決めてください。
もちろん服用しても授乳に差し支えないお薬もありますから、体調が悪い時は医師に相談してください。

 

新生児のおむつ替えの頻度や方法はどのようにすればよいですか?
新生児はおしっこを1日に15から20回くらい、うんちを数回から10回くらいします(母乳栄養の赤ちゃんの方がミルク栄養の赤ちゃんよりうんちの回数が多い傾向があります)。オムツはだいたい2〜3時間おきにかえてあげると良いと思います。月齢が進むと排尿や排便の回数が減ってゆきますから、おむつ換えの回数も減ります。

 

新生児の睡眠パターンや睡眠環境についてどのようなことに注意すればよいですか?
新生児は1〜2時間間隔で寝たり起きたりを繰り返します。乳児期早期には4時間間隔くらいで睡眠・覚醒を繰り返すようになり、1歳頃には8〜9時間くらい連続で眠るようになります。
うつ伏せ寝は赤ちゃんの突然死(SIDS)の危険があります。やわらかいベットやお布団も赤ちゃんの窒息の原因になりますから、あまり添い寝はせずにお母さんやお父さんと同室の赤ちゃん用のベットやお布団で寝かせるようにしてください。

 

乳幼児の発育や発達に適切な身体的活動は何ですか?
「乳幼児の生活はすべてが運動」といっても過言ではありません。基本的な体の動きや使い方を覚える大切な時期です。特別な運動や練習をする必要はありませんが、少しでも多く赤ちゃんや子供たちと触れ合う時間、遊ぶ時間を作ってあげてください。
幼児期になると徐々に運動能力も高まります。多様な動きが経験できるように様々な外遊びを体験させてあげてください。ただトレーニングではありませんから「楽しく遊ぶ」が基本です。

 

乳児や幼児の発熱の対処方法は何ですか?
子ども達はまだ免疫が未熟なために大人に比べてよく熱を出します。このような場合、こまめに水分補給を心がけて、適度に安静にすることが大切です。
発熱時の対処は「早く風邪を治す」ためではなく「発熱の期間を子ども達が少しでもリラックスして過ごせるように」するためのものだと思います。熱が急に上がってきた時は体や手足がガタガタ震えたり、顔色が悪かったり、手足が冷たかったりします。このような時は体や手足を温めてあげたり、お布団あどで調節してあげてください。逆に顔が赤くなりほんのり汗をかいているような時は、体が熱を逃がそうとしているタイミングです。このような時は冷たいものを飲ませてあげたり、氷枕など使ってあげるのも良いです。脇や首、足の付け根を冷やしてあげるのも効果的です。
解熱剤の使用に関しては、熱が高いからといってむやみに使う必要はありません。熱が高くて食事が取れない、ぐずって寝付くことができないなど、日常生活で子どもが困っている時が使いごろです。
入浴は子どもの体調を見て決めます。仮に熱があってもある程度食事や水分がとれて元気があるなら入浴させてあげてください。風邪をひいている時でも体を清潔にすることは大切ですし、蒸気で痰が排出でき鼻の通りも良くなりますから入浴させてあげたほうがよく体を休めることも期待できます。

発熱したら直ちに受診をする必要はありませんが、以下のような症状がある場合は速やかに受診してください。
・新生児期や乳児期早期(生後3か月以下)の高熱
・熱が3日以上下がらない
・咳や嘔吐を繰り返して、食事がとれない、寝ることができない
・極端に水分や食事の量が低下している。
・けいれんを起こした。

 

予防接種のスケジュールや必要性について教えてください。
子どもがかかる病気は風邪のように軽いものばかりではありません。一部は重篤な後遺症を残したり、時に命を落す場合もあります。ワクチンが開発されている病気はそのような重篤な症状を呈するものばかりです。ワクチンで予防可能な病気は積極的にワクチンで防ぎましょう。
https://www.pokkekids.com/vaccination/
ぽっけ・あっぷりけの予防接種の説明ページになります。参考にしてください。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2024.05.17更新

2024年1月にRSウイルスワクチン(妊婦がワクチンを接種することで、生まれてくる赤ちゃんをRSウイルスから守るためのワクチン)が承認されました。接種対象は妊娠24週から36週の方。ワクチンは1回接種です。
2024年6月からぽっけ、あっぷりけでも接種が可能になるように準備をしています。
詳細が決まりましたらお知らせします。

RSウイルス感染症とは
RS ウイルスは世界中に広く分布しており、生後 1 歳までに50%以上が、2 歳までにほぼ 100%が RS ウイルスに感染します。乳幼児における肺炎の約 50%、細気管支炎の 50~90%がRS ウイルス感染症によるとされています。症状は感冒様症状から下気道感染に至るまで様々ですが、特に生後6 か月未満で感染すると重症化することが非常に多いです。新生児や乳児早期に感染すると無呼吸や急性脳症を合併することも少なくありません。後遺症として反復性喘鳴(気管支喘息)があります 。
日本では、毎年約12 万~14 万人の2 歳未満の乳幼児がRS ウイルス感染症と診断され、約 4 分の1(約3万人)が入院を必要とすると推定されていますが、有効な治療薬はありません 。

RSウイルスワクチンについて
これまでもシナジスという注射薬(ワクチンではない)が主に早産児や心臓に病気のある赤ちゃんに接種されてきました。ただしRS ウイルス感染による乳児の入院は、基礎疾患を持たない正期産児の場合も多く 、特に生後 2 か月頃までに感染すると重症化のリスクが非常に高いため、生後早期から予防策が必要とされていました。
こうした疾患の特性から、RS ウイルスワクチンは、国による開発優先度の高いワクチンに指定され、承認が待ち望まれていました。

今回接種が開始されるRSウイルスワクチンは承認前の臨床試験において、重度のRS ウイルス下気道感染症に対して生後 90 日で81.8%、生後 180 日で 69.4%有効でした。

私たち小児科医は咳や喘鳴がつらく、時に入院を要するRSウイルス感染症の赤ちゃんをたくさん診療しています。このワクチンの普及で少しでもRSウイルス感染症で辛い思いをする赤ちゃんが減ることを期待しています。もうすぐ新しい家族を迎える多くの妊婦さんに接種してもらいたいワクチンです。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2021.05.03更新

あっぷりけキッズクリニックでは赤ちゃんから大人まで行うことができる難聴スクリーニング検査機器『OAEヒアリングスクリーナー』(Welch Allyn社製)を導入しています。

子供の難聴は
新生児の1000人に1~2人に、生まれつき難聴があるといわれています。子供たちはあたかも聞こえているかのように行動する傾向があり、気づかれない難聴が、言語や心の発達に影響を及ぼします。
また、先天的に異常がなくても、中耳炎やおたふくかぜの罹患後などに難聴が生じる場合もあります。おたふくかぜ後の難聴は、1000人に1人くらいに発生すると考えられます。

難聴は早期発見・早期治療介入が大切です
検査は片耳あたり数十秒ほどで終了します。お母さんに抱っこされた状態など眠っていなくても検査できます。
OAE検査では「後迷路性難聴」という一部の難聴を見つけることができません。また、泣いてしまったり過度な耳垢があると検査ができません。当院の検査で聴力障害が疑われた場合、当院の検査では聴力障害が否定できない場合はABR検査という別の検査ができる耳鼻科の専門病院と連携します。

どのような子が検査を受けるべき?
* 新生児期に聴力検査を実施していない場合
* 多くの子供たちが話し始める1歳6か月、言葉を習得する時期である3歳頃、小学校入学前など
* おたふくかぜや中耳炎の罹患後
* 聞こえや言葉の発達に不安を感じた時

検査は感染症の診療とは分けて健診や非感染症外来の時間に実施します。子供たちに負担がかかる検査ではありませんから、ちょっとしたきっかけがある際にお気軽にご相談ください。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2020.08.02更新

成長1

成長2

成長3

成長4

成長5

成長6

 

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2020.06.13更新

抗生剤は細菌感染症の際に使う薬です

 抗生剤は細菌を殺すための薬です。実は子供の発熱の約8割はウイルス感染など細菌以外の原因によるものです。これらの病気には抗生剤はまったく効かないばかりか、下痢をしてしまったりと不利益がある場合があります。

 以前は、乳児が発熱すると細菌性髄膜炎や敗血症の鑑別が大切でした。それは、もちろん今も変わりませんが、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンを皆が接種するようになり、これらの重篤な細菌感染症のリスクは大きく低下しました。また、これらの原因となる細菌には抗生剤に対する耐性菌が多く、そもそも一般的に処方される抗生剤ではあまり効果が期待できません。

 抗生物質が発明されて、私たちは多くの病気を克服してきました。今でも感染症治療の主役は抗生物質です。でも、発熱したらいつでも抗生剤を使うのではなく、しっかりと病気を見極めて必要性を判断、使用するのであればどんな種類の抗生剤を使うのか、何日間継続して使うのか、を決めなくてはなりません。

 日本は世界の中でも、特に多くの抗生剤を消費する国のひとつです。結果、抗生剤の効かない細菌(耐性菌)が増えて、病気の治療が難しくなっているという現状があります。ご家族と私たちが一生懸命お話しして、本当に必要な薬だけを選択してゆく必要があります。

 

抗生剤を使用する際の注意

 最後に、抗生剤の使い方についてお願いです。私たちが抗生剤を処方する際は、明確な目的をもって処方しています。症状が改善しても、途中で服薬を中断することなく、医師の指示通りにすべて服薬してください。仮に自宅に残った抗生剤があったとしても、ご家族の判断でそれを使用しないでください。一言で抗生剤といってもその中には多くの種類があります。私たちはそれを病状によって使い分けますが、診察前に抗生剤が投与されてしまうと病気の診断が難しくなってしまう場合があります。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2020.06.11更新

 子どもが吐いたときの対処法を解説します。

 子どもが嘔吐を繰り返したら、通常の食事は控えてください。できるだけ速やかに経口保水療法(ORT)を開始します。市販のスポーツ飲料ではなく、専用の経口補水液を利用してください。

 


 経口補水液の例 OS1(ペットボトル、ゼリー状)、アクアライトORSなど


 

 

経口補水療法のすすめ方

 子どもが吐きくり返したら、できるだけ速やかに経口補水療法をはじめます。乳児であれば1回5〜10ml(ティースプーン1杯が約5mlで計算すると与えやすいです)、幼児期以降であれば1回10〜20ml程度を5分間隔くらいで与えます。嘔吐があっても根気強く続けてください。嘔吐の回数が減ってきたら、徐々に1回に飲む量を増やして間隔をあけても良いでしょう。嘔吐がある間は、他の飲み物や食事は控えてください。

 嘔吐がとまったら、少量から食事を開始してください。お粥などでなくても大丈ですから、子どもの好む、年齢相当の食事で結構です。乳児であれば母乳、ミルクもOKです。ミルクは薄める必要はありません。必要以上に長く食事の制限を続けても、病気の治る期間に変わりはなく、かえって体重が減って、回復に時間を要してしまう場合もあります。

 食事が摂取できるようになったら経口補水療法は終了して大丈夫です。

 

このような場合は直ちに受診を!

・生後3か月未満の乳児で38度以上の発熱がある

・緑色の嘔吐、もしくは血液(赤色)の嘔吐

・くの字にからだを折り曲げて耐えている、痛みで泣き叫ぶ、もしくは歩くことができない強い腹痛

・右下腹部痛、時間の経過で上腹部から右下腹部に移動する痛み

・血便(イチゴジャムのようなドロドロした便)、もしくは黒色便(タール状の便)


 

 

スポーツ飲料と経口補水液の違いは?

 スポーツ飲料は、スポーツなどで消耗してしまった糖分やミネラルが補給しやすいように調整されています。健康な方、通常の食事などの摂取できる前提の飲み物です。スポーツの後や、発熱や下痢など感冒症状がある時でも、軽い食事が摂取できる場合などは適しています。

 経口補水液(ORS)は、食事や水分が摂取できない方のために調整されています。浸透圧が血液より低めに調整されていて、小腸から効率よく吸収することができ、速やかに脱水を改善します。スポーツ飲料や(ORSの記載のない)普通のアクアライトは、ナトリウム濃度が低すぎるのと、ブドウ糖の濃度が高く浸透圧が高めのため、ORSほど吸収効率が良くありません。嘔吐が持続しているよう場合はORSを利用してください。

 ORSの組成

経口補水液はまずい?

 経口補水液、特にOS-1はナトリウム濃度が高く、味に慣れていない子はしょっぱく感じてしまうかも知れません。このような場合は、ゼリータイプが使いやすいと思います。小さく凍らせて少しずつ食べても良いと思います。

 アクアライトORSは、OS-1ほどナトリウム濃度が高くないのと、ほんのりとリンゴフレーバーがきいていて乳幼児は飲みやすいと思います。

 

 

 

投稿者: ぽっけキッズクリニック

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