よくある質問

2019.06.27更新

髄膜炎菌は健康な人の喉や鼻腔にも存在しています。人から人へ感染し、血液や髄膜に侵入すると全身に広がって敗血症、髄膜炎、髄膜脳炎などの侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)を引き起こします。発症率はそれほど高くはありませんが、ひとたびIMDを発症すると進行が非常に速く、重症化して死に至る危険性もあります。

発症初期の症状は発熱や頭痛、嘔吐などで風邪症状との区別が困難です。進行した場合の致死率は19%程度と報告されていて、発症から24〜48時間で5〜10%が死亡し、回復しても10〜20%の患者さんに難聴や神経障害、循環不全による四肢の壊死など回復困難な後遺症を残します。

世界では毎年50万人が髄膜炎菌感染症を発症し、5万人が死亡していると推定されています。途上国以外でもアメリカやイギリス、オーストラリアなどでも多くの報告があります。国内での発症はこれらの国に比べると多くはありませんが、高校の運動部の寮で集団発生したケースなどがあります。

 

治療が難しい髄膜炎菌感染症ですが、髄膜炎菌感染症にはワクチンが存在します。

アメリカやカナダ、オーストラリア、イギリスなどでは髄膜炎菌ワクチンは定期接種となっています。残念ながら日本では任意接種となりますが、2歳以上で接種が可能です。高校や大学の部活動などで寮生活を検討する場合、海外留学をする場合などに接種をお勧めします。

 

日本ではメナクトラというワクチンが接種可能です。髄膜炎菌には複数の株が存在します。このうち血清型A、B、C、Y、W-135がIMDの原因となります。メナクトラはこのうち4種類の抗原(血清型A、C、Y、W-135)を含みます。接種回数は1回です。

 

 

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2017.05.14更新

スギ花粉症とは

花粉症とは、植物の花粉が原因となって、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどのアレルギー症状をおこす病気です。花粉症のうちでスギ花粉が原因(アレルゲン)となるものを、スギ花粉症といいます。スギの花粉はおもに毎年2月から4月に飛散しますからこの時期に症状を認めます。日本人のうち20〜30%がスギ花粉症に罹患していると考えられます。

 

スギ花粉症の診断

毎年春に鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどを認める場合にはスギ花粉症を疑います。小児の場合、ウイルス感染や副鼻腔炎(蓄膿症)でも類似の症状を認める場合があり、鑑別が大切です。

スギ花粉症の検査としては、血清抗体検査、皮膚テスト、鼻汁検査などがあります。これらの検査と問診を組み合わせて診断します。

 

スギ花粉症の舌下免疫療法

スギ花粉症の舌下免疫療法はスギ花粉の抗原を含む治療薬を舌の下に投与します。毎日治療薬を使用することでスギ花粉症の症状を緩和することができます。約8割の人に効果があると言われ、そのうち2〜3割の人はまったく症状を認めなくなりました。

 

舌下免疫療法の対象は

対象は12歳以上のスギ花粉症の方です。他の花粉、ダニ、ハウスダストによるアレルギー性鼻炎には効果がありません(別の治療薬でダニの舌下免疫療法も可能です。ご興味のある方はご相談ください)。

抗アレルギー剤を使用しても症状の改善が乏しい、抗アレルギー剤は眠気が出てしまい使用できない方はご検討いただけるとよろしいかと思います。

 

舌下免疫療法の副作用

口の中の脹れ、口や喉のかゆみなどが主な副作用です。これらの副作用は一過性で投与を継続していると徐々に認められなくなります。

稀にアナフィラキシーショックの可能性があります。このようなケースは投与量を間違えたり、長期間休薬した後に急に治療を再開した際がほとんどです。治療薬の使い方に関しては主治医より十分に説明を受けてください。

 

舌下免疫療法の治療の実際

スギ花粉症の舌下免疫療法はスギ花粉が飛散していない時期に治療を開始します。当院では毎年4月から11月中までに治療を開始します。

1日1回、少量の治療薬から服用をはじめ、その後決められた一定量を数年間にわたり継続して服用します。初めての服用は、医療機関で医師の監督のもと行い、2日目からは自宅で服用します。

治療を開始すると翌年のシーズンから効果が現れはじめます。

 

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2017.03.26更新

臍ヘルニアとは

臍ヘルニア(でべそ)とは、新生児期、ちょうど産院を退院して、へその緒が取れた頃から生後1か月くらいまでに、もっこりとおへそが飛び出してくる状態のことを言います。最初は泣いた時だけ大きくなるなど小さいのですが、生後2~4か月をピークに大きくなっていきます。お母さんと赤ちゃんをつなぐ臍帯の通り道であった腹壁の筋肉が完全に閉じなかった為に起こる現象で、新生児の約4%に見られ、1歳までに80%、2歳までに90%前後が自然治癒すると言われています。  

 

臍ヘルニアの治療

以前は皮膚トラブル(接触皮膚炎)の問題から、何もせずに様子観察することが多かったのですが、大きくなったおへその伸びきってしまった皮膚は元には戻らず、その醜形が問題となっていました。 現在は、通気性の良いテープやスポンジシートの出現により、早期から(生後2か月までがおすすめ!) スポンジ圧迫法により、見た目も美しく、治療期間も29~279日、平均で79日間と短い期間で治せる可能性があることがわかりました。(治療開始を生後2か月とすると生後4か月までに治癒する可能性があるということですね! 当院もこのスポンジ圧迫法を取り入れて、臍ヘルニアの早期完治を目指しています。 ご相談いただきました皆様には良好な結果が出ております。お肌の弱い赤ちゃんや、臍ヘルニアが大きすぎる場合など、圧迫しても治癒が見られない場合は、ご相談の上、専門病院へ紹介させて頂きます。

臍ヘルニア圧迫療法

スポンジ圧迫法とは写真のように医療用のスポンジシートをカットして、通気性の良い医療用テープで圧迫固定します。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

●赤ちゃんはハチミツを食べてはだめ?なぜ?
天然のハチミツの中には稀にボツリヌス菌が存在することがあります。1歳未満のお子さん(多くは生後3週から6か月程度の乳児)がハチミツを接種するとボツリヌス菌が腸管内で増殖し、ボツリヌス菌が産生した毒素により乳児ボツリヌス症を発症することがあります。症状は長引く便秘、脱力、筋力の低下や呼吸困難などです。摂取から3日~30日後に症状が出現し、症状発現まで時間がかかることも特徴です。

パンなど一部の食品には添加物として既に製造の段階からハチミツを使用している物もあります。加熱など十分に処理をされた加工品の中にはボツリヌス菌は存在しないと考えられ、まず発症のリスクは無いと考えられます。1歳未満のお子様はハチミツの摂取を控えましょう。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

●睡眠について
睡眠はレム睡眠(睡眠中、脳が活動している状態)とノンレム睡眠(脳が休止している状態)に分けられます。ノンレム睡眠の間に人間は脳を休め、レム睡眠の間に脳はその日あったことを追体験したり、以前の記憶の整理を行ったりしていると考えられています。寝ている間に夢を見るのもこのような睡眠中の脳の活動によると考えられています。

ちなみに魚類や、爬虫類といったあまり脳の発達していない生物では人間のようなはっきりした睡眠は認められません。脳の発達した人間だからこそ眠ることは大切だと言えます。

●睡眠の大切さ
子供たちは(もちろん私達大人もそうですが)十分な睡眠時間を確保することで翌朝しっかりと目を覚まし、朝食を摂ることができます。睡眠時間が足りない子はそうでない子に対して朝食を摂っていない場合が多いです。「早寝早起き」は子供たちの生活リズムを整え、健康を保つために必須です。

昔から「寝る子は育つ」と言われますが、夜、睡眠中に多くの成長ホルモンが分泌されることが知られています。また、睡眠不足は食欲を調節するホルモンバランスも崩してしまい、十分に睡眠時間を確保している人に対して睡眠不足の人の中に肥満が多いことも知られています。

●どれくらいの睡眠が必要?
諸説ありますが、小児では最低7~8時間。私は小学生で9時間程度の睡眠時間を推奨しています。小学生のうちからあまり睡眠時間が少ないと、更に忙しくなる中学生、高校生になった頃にはもっと睡眠時間が減ってしまうことが予想されます。小学生も高学年になると塾や習い事、場合によっては中学受験などで大変忙しくしている子を多く見かけます。でも、この時期はちょうど子供たちが思春期を迎える時期でもあり、この時期の生活リズムの乱れはその子の一生を左右してしまう可能性があります。

子供に「早く寝なさい」といっても、大人が近くで食事をしたり、テレビを見たりしていれば、子供はどうしてもそちらが気になってしまい眠ることができません。子供たちの早寝早起き、睡眠時間の確保のために親の協力も必要だと思います。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

これも主治医によって意見が分かれてしまい、皆様に混乱を与えてしまっている部分ですね。ぽっけキッズクリニックでは以下のようにお話ししています。

解熱剤を使ったからといって治る病気はありません。解熱剤の効果は2~3時間ですから、その時間が過ぎるとまた熱は上がってしまいます。「熱が高いと脳の障害が起きる」という話も脳炎など特殊な場合を除いてまれなことです。必ずしも熱の高さと病気の重症度は一致しないんです。でも、解熱剤を使うことによってお子さんがリラックスできたり、ぐっすり寝られたりするならばとても良いことですよね。解熱剤は「熱が高いから」使うのではなく、熱が高いことによってお子さんがつらいとき、水分がとりにくいときなどに使ってあげてください。

解熱剤を少しだけ常備しておくのも良いと思います。水分を飲めるなど、ある程度日常生活が可能ならば子供の発熱は緊急に受診を要するものではありません。予備の解熱剤で様子をみて、翌日かかりつけ医に相談すれば慌てて夜間救急を受診したりする必要が減るかもしれません。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

熱のある時は身体を温めるの?冷やすの?と、よく聞かれます。一般的にお子さんの顔が青ざめて手足が冷たくなっているような時にはこれから熱が高くなっていく時です。布団を少し厚くしたりして、身体を温めてあげてください。逆に顔がほてって首筋などにうっすら汗をかいているようなときには氷枕などで積極的にクーリングしてあげましょう。脇や首を冷やしてあげるのも効果的です。
十分な水分を摂らせて、汗を拭きとったり、着替えさせたりなどもお忘れなく。夏場ならクーラーや扇風機の使用もOKです。ただ、直接風が吹き付けるような場所に子供を寝かさないでください。このような体温の管理は発熱中の子供をリラックスさせるためのもの。あまり難しく考えすぎず、お子さんとお話ししたり、表情をみたりしながら対処してあげれば大丈夫です。お母さんが一番わが子のことを解っているのですから。
十分に水分がとれているのなら発熱中の入浴もOKです。さっと汗を流してあげればリラックスして休めるかもしれません。あまり高温のお湯に長湯することなく、例えば人肌より少し温かいくらいのお湯に軽くつかる程度が良いでしょう。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

伝染しやすい感染症には「学校保険安全法」という法律で学校や幼稚園などの集団生活への出席停止が義務づけられています。

・インフルエンザ(学校) 発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで。
・インフルエンザ(幼稚園) 発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日を経過するまで。
・百日咳 特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬療法が終了するまで。
・麻疹 解熱した後3日を経過するまで。
・流行性耳下腺炎 耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が始まった後5日を経過し、かつ、全身状態が良好となるまで。
・風疹 発疹が消失するまで。
・水痘 すべての発疹が痂皮化するまで。
・咽頭結膜熱 主要症状が消退した後2日を経過するまで。
・溶連菌感染症は適切な抗生剤内服開始後24時間以上経過し、解熱、全身状態が良ければ出席が可能です。
・手足口病、ヘルパンギーナ、伝染性紅斑(りんご病)などには一定の出席停止期間は定められていません。解熱後、全身状態が良ければ登校(登園)することができます。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

溶連菌感染症は幼児期から学童期に多い「のどのかぜ」の一つです。高熱と喉の痛みが代表的な症状です。のど(咽頭)が赤く充血して痛みが強く出ます。舌が赤くなり、ぶつぶつが目立つ場合があります(苺舌)。時に頭痛や腹痛を伴います。中耳炎を合併する場合があります。この様な症状から少し遅れて身体にピンク色の細かい発疹が出現する場合があります(かるい痒みを伴います)。

感染経路の多くは飛沫感染です。患者のだ液から感染しますから手洗いやうがいをしっかりすることで予防できます。潜伏期は2~3日です。赤ちゃんや大人にも伝染する場合がありますので注意しましょう。

●診断と治療
「迅速検査」により5分ほどで診断がつきます。抗生剤の内服を開始すると1~2日で解熱します。ただし再燃や、合併症の予防のために途中で服薬を中止することなくしっかり最後まで内服を完了してください。抗生剤の内服開始後24~48時間以上が経過して症状が改善していれば登園、登校が可能です。幼稚園や保育園によっては治癒証明書が必要な場合があります。家族に同様の症状の方がいる場合には一緒に抗生剤を内服していただきます。

●溶連菌感染後の合併症・急性腎炎
稀に溶連菌感染症のあとに急性腎炎を合併することがあります。予後は良好な病気ですが、時には入院治療を要します。溶連菌が治癒してから2~3週間後に尿が赤く(黒く)なったり、尿が出なくなったり、身体がむくんだりといった症状が出現したら速やかに再診してください。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

2016.10.31更新

●MERSコロナウイルス感染症とは?
2012年に初めて確認された新しいウイルス感染症です。主として中東で患者が発生しています。ヨーロッパや北米、アジアでも患者の発生がありますが、全て中東で感染した患者、あるいはその患者からの2次感染例です。ラクダとの接触で感染する可能性があると言われますがいまだ詳細は不明です。人から人への感染もあり得ますが、家族や医療従事者など濃厚に患者と接触した症例が大半で、インフルエンザのような大流行は生じないと考えられています。

●症状
主な症状は咳、発熱、呼吸困難など呼吸器症状です。時に嘔吐や下痢といった消化器症状を伴います。MERSコロナウイルスに感染しても症状の現れない方(不顕性感染)や、軽症で経過する場合もあります。特に高齢者、免疫不全や慢性肺疾患などの基礎疾患がある場合には重症化します。

●予防と治療
ウイルス感染症で抗生剤などは無効です。発症した場合は対症療法を行います。現在のところワクチンも存在しません。手洗いやうがい、マスク着用など一般的な感染症予防で感染を防ぐことができます。

●感染が疑われた場合には
帰国時に発熱や咳などの症状がある方は、空港内等の検疫所へご相談ください。帰国後14日以内に、発熱や咳などの症状がみられ、最寄りの医療機関を受診する際は、事前に医療機関に連絡の上、中東をはじめとする流行地域に滞在していたことを告げてください。症状がある間は、他者との接触を最小限にするとともに、咳エチケットを実行してください。

投稿者: ぽっけキッズクリニック

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